こんにちは
株式会社AZSTOKE 中島、武田です。
今回のSKYSQUAREの道-010-では林業講習の1日目について学んだ内容をレポートとしてまとめ皆さんにお伝えいたします。
これまでのSKYSQUAREの道の記事一覧はこちら
■目次
■経緯
まずは経緯ですが、林業講習を受講したのは林業をするためではありません。
ここは大事なのでまずはっきりしておきます。
あくまで最強のサウンドを収録するためのものであり、林業に転職するためではありません。
ただし山林を購入した以上、木々の管理が必要になってきます。
かかり木も多くあるのを確認していて早く倒してしまうことが必要になっています。
そして今後この土地で音を収録していく上では建物は必須です。
その土地を開拓するにも伐木を行う必要があり、その伐木をできれば今後の管理含め行えるようにするために、自身でやっていきたい!!!ということでまずは林業の講習に参加し、安全のためにもプロに教わることでその方法を会得することにしました。
もうそれ林業じゃねというツッコミは受け付けておりません。
そんな時に道の駅で見つけたのがこちらのチラシ!
なんと林業について説明、実技をしてくれる講習がありました。
近くの道の駅なので近辺で教わることができるならとてもいいなと思い、参加しました。
森林体験と林業講習の申込みを募集しています!
株式会社TreeLumber
■1日目 林業体験[座学]:伐木・針葉樹/広葉樹の違い
まずは座学から開始しました。
今回担当してくれたのは株式会社TreeLumberの清水さんです。
とても優しく丁寧に教えてもらえました。
先生になればいいのにと強く思ったぐらいです。
さて座学の内容ですが、伐木でも針葉樹と広葉樹があり、木の種類によっては切り方が変わるみたいです。
針葉樹はまっすぐ立っているものがほとんどで、柔らかく加工しやすい反面、広葉樹は固く、加工しにくい作りになっています。
そのため伐木するにも、代表的な追い口切りだと広葉樹は裂け上がりということが怒りやすく、その回避をするために、追い口切りから追いづる切りにすることで裂け上がりを防ぐことができるようです。
その災害事例なども踏まえてご説明いただきました。
直接いろんな質問ができてめちゃくちゃ良かったです。
また、実際にあった事故など倒木中に気を付けるべき点もしっかり教えていただきました。
■1日目 林業体験[実践]:伐木
1日目は針葉樹の伐木を実践!
安全確認を進めながら直径20㎝ほどの針葉樹をバッサリ!
倒す方向を判断するための[木の重心]を見極めるのは難しく、何度も確認をしながら進行。
ロープや牽引具の利用方法を教わりながら伐木を行いました。
実際に聞く「ミシミシ・・メキメキ・・・!」という木の軋みが聞けたのはとても貴重な体験でした。
伐木手順1:木を選定
倒したい木を選定する際に大事なことは倒すコースです。
倒したい木を倒す際に他の木にかかってしまい、かかり木と呼ばれる危険な木となる可能性があります。そのため、倒す木の方向にかかる木がないかをしっかり確認することと、時には、その木を倒す前にかかる可能性がある木を先に倒すことで回避させるなどを考えながら
伐木しなければなりません。
思ったより、しっかり計算して常に考える必要があるのを肌で感じました。
伐木手順2:ロープはできる限り高い位置でかける
木の選定が完了したら、その木にロープをかけます。
木は当たり前ですが枝があります。
枝があるとロープをかけたとしてもそこから上にあげることが困難になります。
そのためかける際になるべく高い箇所にロープを持っていく必要があります。
その際には、ロープを束ねて投げるようにして高い位置にロープがかかるようにします。
今回はこのロープで束ねる方法を学びましたが、他にも釣り糸に重しを付けてパチンコで飛ばすようにしてその釣り糸にロープを接続させておいてかけるような方法でかける方法もあるみたいです。
伐木手順3:ロープワークは「もやい結び」
木にロープをかけることができたら、そのロープを結ぶロープワークとしては「もやい結び」を利用します。
この方法が一番良いみたいで、何度もやり方を教わりました。
※慣れないとすぐに忘れますね・・・
伐木手順4:折り返し地点の木を選定
ここで大事なのが木を倒す方向を考慮した折り返し地点の木を選定することです。
折り返して引っ張ることで木の倒れる方向に人がいないようにすることができます。
その木を選定することも大事なポイントです。
木の折り返しの地点が大きく角度がつくと、荷重の力が足りなかったり、倒れる方向が変わってしまうなどの問題点が発生するため、この木の選定も大事です。
伐木手順5:ベルトスリングを設置
折り返しの木を選定したらそこにベルトスリングを設置します。
ベルトスリングは荷重の領域が大きいのでおすすめの吊り具です。
こちらは玉掛けの免許でも教わる重要な吊り具の一種です。
それを伐木にも利用することができるのは初めて知りました。
伐木手順6:滑車を設置してロープで折り返す
ベルトスリングに滑車を設置してロープを折り返します。
引っ張る角度が滑車側になるので、そちらに引き寄せられるようになるため
人に直接倒れるという状況を回避することができることと距離をとることができるので
これらによって安全を確保することができます。
伐木手順7:チルホール設置の木を選定とチルホールについて
折り返しの木からまっすぐ向かう先の木を選定し、ロープやワイヤーの長さを考慮する必要があります。
大きめの木を倒すためには人間の力では難しい場合がほとんどです。
あと倒したくない方向(電線があるや木にかかってしまう方向)に曲がっている木も多く存在しているので機械の力を使って無理やり方向を変えて、重心を移動させることで倒すことも必要になります。
機械と言っても日本は傾斜地が多く、重機をいれることができない箇所がほとんどです。
そのため人の手で倒すのに重宝するのがこのチルホールです。
手持ちで持ち運びができて力が強い牽引具になります。
電気等の別の力は必要ないのでこれ一つであとは人の力を加えることで牽引の力が500KGにもなります。
チルホール自体は様々なサイズのものが販売されていますが、現場の人はこの500KGが良いとのことです。結局はこれを持って山登りをしないといけないので、どうしようもない状況以外はこの500KGを持ち運んで伐採をするみたいです。
我々のSKYSQUAREは、そこまで山登りして伐採することはないと思うのでもう少し大きいのを購入しようかなと思いました。
伐木手順8:チルホールをベルトスリングに接続
チルホールの設置にもベルトスリングを設置します。
ここでポイントが膝程度の高さにベルトスリングを設置しているところです。
チルホールを巻き上げする動作を行う際に膝あたりに本体が来るのが適切な位置になるらしく、低めの位置にベルトスリングを通して設置できるようにします。
しっかりベルトスリングをチルホールにつなげます。
クリップの中にベルトスリングがしっかり入るようにして接続します。
チルホールとベルトスリングの木の根元位置から遠すぎると跳ね返りの反動が大きくなる可能性があるのでベルトスリングの目通し位置を調整することで同じ長さのベルトスリングであったとしても長さを調整することができます。
伐木手順9:KITOクリップをロープに設置
チルホールを設置できたら次にロープにKITOクリップと呼ばれるものを接続します。
これにより、ロープとワイヤーを接続させることができるようになります。
KITOクリップは1方向のみに動くような仕組みになるため、引っ張る側を動かない方向にしておけばしっかり引っ張ってくれて、調整する際は引っ張らない方向に動かすことができる便利クリップになります。
伐木手順10:KITOクリップにワイヤーロープを接続
KITOクリップのロープへの接続ができたので
ワイヤーロープをKITOクリップに接続します。
ワイヤーロープは先ほどのチルホールに接続するのに必要で、ロープを直接ワイヤーロープに接続できないものをKITOクリップを利用することで接続できるようにしています。
この辺りが現場の人独自に編み出した方法だなと強く感じました。
伐木手順11:ワイヤーロープをチルホールに接続
ワイヤーロープをチルホールに接続します。
ワイヤーロープ自体はチルホールに付属されていますのでチルホールを購入すれば専用のワイヤーロープがついてきます。
その先端部分を穴に挿すようにいれていきます。
ワイヤーロープが刺さると滑車を手で動かして長さを調整します。
少し張るような感じで持っていくイメージです。
ここでわかるのがちょうど膝のあたりにチルホールの本体が来ているところです。
この高さにすることでチルホールを手動で動かす際に力が入りやすい形になります。
伐木手順12:チェーンソーで追い口切り(受け口)
接続が終了したらチェーンソーで切っていきます。
針葉樹はこの代表的な追い口切りで切っていきます。
まずは45度を目標として開口部の受け口をいれていきます。
ここで注意点があります。
最初から45度を目指すように切ってしまうと思った以上に切れてしまい方向や倒れ方に問題が生じる可能性があります。そのため、切る際はまずは20度で切って角度と方向が間違ってないかを見ながら調整するように最終的に45度の角度で受け口ができるように切っていきます。
伐木手順13:チェーンソーで追い口切り(追い口)
受け口が切り終えたら、次に追い口を切り取っていきます。
受け口の半分より少し上を平行に切るイメージで切っていきます。
ここで真ん中に丸太の1割ぐらいを残した状態にしておきます。
切りすぎに注意です。
場合によっては、さらに追加で切っていく必要が出てしまいますが
ここは慎重のために多めに残して牽引で様子をみるようにしましょう。
伐木手順14:チルホールの巻き取りを少しずつ開始
ここで特に注意するポイントがあります。
巻き取りを開始する際に、チルホールとワイヤー、ロープ、伐木の木と接続されている中の△になっている中に人が入らないようにすることです。
かなりの力で引っ張るのでそのロープ、ワイヤーともに荷重によりちぎれるなども起きえる可能性があります。
どこに飛んでくるかでいくと力がかかっていた方向にまず動きます。
その場合、中に人がいるとその人に飛んできてしまう可能性があるので、ここはかならず外に出ていることを確認してから巻き取りを行います。
少しずつ巻き取りを開始しました。 チルホールを巻き取る場所とひっぱる力の方向がしっかり安全を確保できているのがわかります。 これは安全だ!!!
伐木手順15:倒木
倒木する際は音が変わります。
落ちるとわかった瞬間にその場から離れましょう。
倒れた際にどういう力がかかるかがわからないので木とつながっているチルホール側に力が移動してチルホールがはじけるなども起きる可能性があります。
それを回避するために、倒れるとわかった際は即座に離れます。
これで針葉樹の伐採に成功しました。
なかなか体験できないことがしっかり盛り込まれてて実際に体験し、ロープやチルホールなどの牽引具の大切さなどを理解することができました。
良い経験になりました。
伐木の木の音がとてもよく、これはこれで収録したいなと思った次第です。
そこに関してはまたSKYSQUAREでテストできればと思っています。
これらの経験を活かしてSKYSQUAREの発展につなげていきます。
2日目のレポート広葉樹の伐採と搬出方法についてはまとまり次第、公開いたします。
乞うご期待!!
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